石彫家の林遼さんに、石の魅力について、お話を聞かせてもらいました。

「私は石の形、石の自然の造形には叶わないと思っているんです。自然の造形を殺さずに生かす様に、活かせる所に石の魅力があると思っています。制作に使う石は地元の川から拾ってくるのですが、地元の石がやっぱり肌に合っているというか、一番作品には使いやすいですね。

同じ石でも割れ肌と磨いたものでは全然別の表情になる。そういった変化を楽しめるものでもあると思いますし、硬いから抵抗があって面白い。

あとは黒い石が好きですね。私は石の色を見せたいっていうのがあって、黒い石は色が映えるのでよく使っています」。

林さんは1985年長野県生まれ。2008年長野県高山村りんごアートコンテスト佳作受賞(長野)、’09年神通峡トリエンナーレ2009(富山)、’10年第66回石川県現代美術展次賞受賞(石川)、金沢美術工芸大学修士課程彫刻専攻修了、’11年 第64回長野県美術展知事賞受賞(長野)、第15回日仏現代国際美術展奨励賞受賞(東京、’12、’13年はサロンブラン優秀賞受賞)、’12年第65回諏訪美術展諏訪美術会賞受賞(長野)等。現在は長野県下諏訪にあるアトリエで制作活動をされています。

安山岩を使って制作された林さんの作品「誘う」

コンセプトについて、林さんは「私の作品は川から玉石を拾ってくるところから始まります。自然の、天然が作り出した形を活かして自分の空間を刻んでいきます。

私が一番こだわっているのは接点なんです。接点で繋がっている作品っていうものを作りたくて、バランスの悪い不安定な状態の作品を作っています。

接点が少ない形に惹かれ、点で繋がっている様な作品を考えて、空間構成をしています。スキーに例えていうとスキー板を履いていると雪の上では沈まないですけど、板をはずした靴だとズボっと沈んでしまいますよね。それって面積が狭くなるとそこに掛かる力は凄く増える訳です。

接点という接する面積が少なくなると、そこに関わる存在感が増えると考えまして、点で繋がるという所を際立たせたくてこういった形を制作しています。どこかで繋がっている関係っていうのが私は好きです。

3つの石で構成した作品は、どれか一つでも欠けてしまうと倒れてしまう。人と人は誰もがお互いに支えあって支えられているっていうのを表現したくて、玉石を矢で割ってかすがいだけでつなげた作品を作ったりしています。

石を人との関わりに見立てて社会での人と人との繋がり方を自分の作品で表現しています。割り戻しの誘うシリーズは、線が見えざる一点に集まっている事から見る人の視点を誘うといった意味を込めて作った作品です」とおっしゃっていました。