この企画では、彫刻家が感じている「石の魅力とは何なのか?」、「なぜ石で彫刻を作っているのか?」ということをお聞きしていきます。普段「石」を身近に感じている業界の皆さんにとっても、「石」の質感を活かし、「命」を吹き込みながら制作活動に取り組んでいる石彫家の方たちの視点から学ぶべきことは多くあるはず。

今回は東京都渋谷区にあります TOKI  Art  Spaceで個展を開いていた栗原優子さんにお話を聞かせてもらいました。

――彫刻家の栗原優子さんにとって「石の魅力」とは?

「石はいちばん私にとって自由な存在だと思っています。大学3年生の時に素材実習があり、素材を選ぶ時に石を選んでからはほとんど石で作品を作っています。

ちょっとだけ木を彫ったこともあったのですが、それも石を彫るために彫っていたようなものです。石は重さだとか、硬さだとかがあまりにも圧倒的に強すぎていて、そこまでの存在だったら自分が何をやってもかなわないっていう前提があるからこそ、自由に何でも出来るかな?っていう感じがあって。石を目の前にした時に色んな事が頭に浮かぶというか、何をやってもいいんだなっていう、すごく楽しい気持ちにしてくれる、そんな存在です。」

 

栗原さんは1983年東京都府中市生まれ。

2005年第41回神奈川県美術展平面立体部門準大賞、’06年第5回石の彫刻フェスティバルINすかがわ参加、’08年女子美術大学大学院美術研究科美術専攻立体芸術修了、’10年Art Bio Top小豆島参加 、個展は’07年ガレリアグラフィカbis(東京)、’09年ギャラリー山口(東京)、グループ展は、’05年第41回神奈川県美術展、’07年PRINCIPLE 1900︱2007展(神奈川)、’10年2010214(東京)、’11年ART SESSION TSUKUBA2011磁場―地場(茨城)、’12年SPIRALE+(長野)、’13年雨引の里と彫刻(茨城)等、精力的に活動されています。

栗原さんは物と物がぶつかり合った時に漫画等ではパチっと星が飛んでいる様な表現をしていますが、その一瞬の星を作品にしていたりと、形のないものを形にしている、消えてなくなる物をテーマに制作しています。

「私は雷の一瞬で落ちてくる強いイメージ、一瞬で見えてなくなるものを形にしたいといった感じです。壁の作品はアフターグロー(残光)というタイトルですが、残った光でものを見るというコンセプトで作っています。4面体っていう制約をつけて270個の白い石を白い壁に貼り付けています。

同じ定義のなかでも違う形を作ることを自分に課して、見ると白い石なんですけど黒い線に見えたり、光が当たって黒い影が見えるといった感じで、白の中で黒を見つけてもらえたらなっていうのをやりたかったんです。黒っていう概念を目で見たいので、白の中の黒を見つける作品です。

白い石でも鋭角な部分があれば、そこに影が出来て黒い線っていうのは絶対に生まれる。白い塊であっても枠が黒く見えたり線が黒く見えたりするので、そういったものを見たいといった感じです。

カッターだけを使って制作した作品Flashは、私はカッターで切っている石の状態、カッターの跡が凄く美しいなと思って、それからグラインダーでならしてしまう事の寂しさっていうのを最近感じていて、カッターの跡を残してカッターの勢い、ライブ感等を表現したいなと思って作りました」

とおっしゃっていました。