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万成石(岡山)

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万成石(まんなりいし)

◆ 採掘地・丁場

岡山市万成地区

◆ 主な特徴

気品のある美しい淡紅色が特徴。硬質で変色しにくい石材。石彫家・イサムノグチが愛した素材でもあり、著名人の墓所にも数多く使用されています。

◆ 万成石の有名な使用例

明治神宮外苑の絵画館、伊勢丹ビル(新宿)、三越本店(日本橋)ほか、著名人のお墓等にも多数使用

万成石の岩質データ

分類:花崗岩

見掛け比重:2.63(t/m3)

吸水率:0.17(%)

圧縮強度:133.72(N/mm2)

温暖な気候で桃とマスカットの産地、岡山市一宮地区の隣に位置する万成町。ここで採れる万成石は美しい淡紅色が特徴で、その印象的な色合いは女性好みのやさしい印象を与える。

全国各地の有名建築物や記念碑、銅像の台座、モニュメントなどに使用されているのをはじめ、石原裕次郎といった著名人のお墓にも数多く利用されており、彫刻家のイサム・ノグチが愛した石としても知られている。

採石場はJR岡山駅から歩いておよそ20分のところにある。その特徴的な色合い、質の良さから地元はもちろん、関東、北陸、九州地区を中心に今でも根強い人気に支えられている

気品と温かみのある石肌

難が少なく耐久性の高い銘石「万成石」

万成石は、石原裕次郎をはじめとする著名人のお墓に用いられ、また銀座和光(東京都中央区)をはじめとする有名建築物にも使われているほか、世界的彫刻家イサム・ノグチが愛した石としても知られている。採石が事業として本格化したのは明治中期で、昭和から平成にかけてのピーク時には採石業者9社のもとで11丁場が存在したとのこと。現在は2社が継続的に採石事業を続けている。石材の丁場といえば、人里から離れた山の奥というところが多いが、万成石の丁場は岡山駅から車で10~15分程度の距離。新幹線が停まる駅からこれほど近い距離にある丁場は、日本広しといえども他ではあまりないケースといえるだろう。

「岡山の中心部はその名の通り、丘(岡)のような山に囲まれています」と話す有限会社浮田石材店・浮田隆司社長の車で同社の丁場に向かう。万成石は岡山市の万成・矢坂地区で採れるが、そこにある矢坂山も標高は131メートル余の比較的低い山である。採石場に行くには四駆が必要な急な斜面のある場所も多いが、ここは普通自動車でも十分に登っていける。

「当社の丁場は桜色の濃いものが採れます。万成石の中でも特に龍王石と呼んでいるものですが、そうした良質な石を採るために、採り口を横へと移すだけでなく、下の方へと掘り進むこともあります。温かみのある明るい色合いはもちろんですが、硬くて、水を吸いにくい等の特性が持ち味の石です。また黒玉などはほとんどなく、数ある国内産の中でも難の少ない石材だと思います」と浮田社長。

華やかな色合いと均一に整った石目の優美さに加え、経年変化にも強い万成石。埋蔵量は豊富で枯渇する心配も当分ない。品質も供給量も安定しているのも強みである。「万成」という名前も縁起の良い響きを持っている。 同社の丁場で岩肌を眺めると、上のほうは玉石の状態で採石されるが、下のほうは岩盤の状態になっている。花崗岩(角閃石黒雲母花崗岩)でありながら、伊達冠石や本小松石と同じように、玉石の皮肌の部分も幅広い用途で使えるのが万成石のもうひとつの魅力だ。イサム・ノグチをはじめとした数多くの石彫家をこの石に惹き付けた大きな理由のひとつでもあるのだろう。

全国各地で愛用される 他に類を見ない銘石

「丁場には石材業者の方々はもちろん、石彫家、造園家、建築家の方々も来られます。丁場の一角は何人かの造形作家さんが作業する工房にもなっていまして、完成した作品の一部を展示してある場所もあります。」同社の丁場では多彩な造形作品を見ることもできる。故人となられた作家の遺作ともなった作品も置かれており、それは万成石のいくつもの玉石をほとんど加工せずに配置したものだ。他の作家のものでは製作途中の作品もあった。

順調に採石できる状態において、同社ではこれまで年間平均6千~7千才を出してきたとのことで、そのほとんどが原石出荷である。製品での注文の場合は、地元の加工会社に依頼しているとのことで、「機械設備が整った加工屋さんと、特殊な加工もこなせる技術に秀でた加工屋さんがいて、主にその2社に頼んでいます」と浮田社長。

丁場に置かれた乱尺材の石肌を見ると、磨いていない割ったままの状態でも明るい色合いが感じられる。色の濃い桜の花びらを散らしたような石目は、国内はもとより世界的にも類を見ない美しさを湛えており、退色しにくいという性質が見た目にも感じられる。「切って磨く墓石材がメインになりますが、昔は関東で銅像の台座にもよく使われました。一時は当社の総出荷量の3割を台座石が占めていたこともありますが、今は需要が少なくなりました。自然石風の墓石にしたいという方や彫刻家や造園家の方からは皮肌があるものを求められることもあり、玉石や皮があるものをそのために丁場の一角に置いてあります。わざわざそういうものだけを選んで採ろうとしても採算が合いませんので、出てきたもので良質な皮面のものを在庫としてストックしておくようにしています。」

同社では関東、北陸、九州への出荷量が多いという。全国的にブランド力を持つ万成石であるが、地元岡山をはじめとした瀬戸内に関しては、青御影石と呼ばれる石が豊富なためか比較的需要は少ないようである。「万成石が北陸での需要が高いのは、吸水率が低いために風雪や湿気によく耐えることと、薬売りで知られる富山では薬品を調合する器として重宝されたことも名前が通った要因に挙げられると思います。」

イサム・ノグチが四国へ行く前に10年間ほど岡山にいたとのことで、当時のスナップ写真を見せていただいた。イサム・ノグチが万成石の玉石を見つめる写真や若き日の浮田社長との2ショットもあった。浮田社長は「ノグチさん」と呼んでいて、思い出話が次から次へと出てくる。他の造形作家との交流による逸話も豊富だ。 万成石、とりわけ龍王石と呼ばれる色味の濃い万成石が採れるこの丁場は、日本の石文化を支えてきた重要な場所のひとつであり、これからもその役割を長く担ってくれることを期待せずにはいられない。

有限会社浮田石材店

岡山県岡山市北区万成東町6-15
電話:086-252-0629

 

万成石のファンを増やすため

若いセンス・発想で情報発信

有限会社武田石材における「万成石」の採石事業の歴史は昭和49年の認可によって開始されている。昭和51年から原石販売を手掛け、昭和59年以来、現在の山を採石するようになった。昭和60年には加工のための自社工場の設備も整えている。埋蔵量が豊富かつ安定供給できるのが万成石の特徴で、原石出荷が95%という同社の丁場でも平均して年に7千~8千才を出していた。

ところが一昨年にちょっとしたアクシデントがあったという。山の一部の土砂が崩れたのであるが、崩れ残った部分があったために、危険で近寄ることができず、山を整備して新しい採り口を作らなければならなくなったのである。同社の高橋健太社長と高橋信一専務は去年のことをこう話す。 「山作りのために、去年は丸一年新しい石を採ることができませんでした。半年ほどで採石を始められるだろうと考えていて、何とかストック分で対応できると想定していたのですが、結局一年がかりになり、お客様には待っていただく状態になってしまいました。昨年12月からようやく新しい採り口で再開でき、現在は待っていただいた受注分の対応に追われています。」

同社が通常出荷している9割は墓石材とのことだが、残り1割となる建築材や修景材についての問い合わせも定期的に入っているという。建築や修景で使われる場合は規模の大きいものが多いために才数も増え、割合が1.5~2倍になる年もあるようだ。同社の丁場では万成石は玉石の状態で採石されているが、1個千トン以上の玉石もある。そのために大材が採れることも建築材として使われやすいメリットだ。 「建築に使われる場合のメリットは、ロットが大きくなることのほかに、次につながる万成石のPR材料にもなることです。万成石を使った建築では銀座和光が有名ですが、銀座和光と同じ石を使いたいというニーズは今でもあります。 有名な建築物に使われることの波及効果は大きいですね。桜御影とも呼ばれる万成石は岡山でしか採れないオンリーワンの石なので、その存在を知って使ってくださる方は限られてくるでしょうが、この石を好まれる方はとことん気に入ってもらえます。そうしたファンを増やしていくためにも万成石の存在を知ってもらうことは重要ですから、さまざまな形でPRに取り組んでいます。」

アクセサリーやTシャツも販売 万成石の存在を多彩にPR!

高橋社長と高橋専務はともに30代である。その若さはPRのスタイルにも反映されている。ホームページやSNSなどを使ったウェブ戦略をはじめ、万成石のブレスレットやTシャツなどのグッズ販売などにも力を注いでおり、デザイン性も強く意識されている。 「ホームページからは当社のリーフレットやメディア掲載記事がPDFで誰でもダウンロードできるようにしてあります。万成石のブレスレットはお墓を建てていただいた方へのプレゼントとして最初は企画したのですが、予想外の反響をいただき、ブレスレットだけでも欲しいというニーズが意外に多く、初年度は500本売れました。それによって利益が出るものではないですが、『万成石のPRになれば』ということと、お墓を建てていただいた方には『お墓と同じ石で作ったアクセサリーを身に付けていただければ』という手元供養的な意味合いを込めています。」

同社では岡山駅からのアクセスの良さを武器に、積極的に丁場見学も受け入れている。1回に50~70名規模での見学を申し込まれることもあるという。石彫家の方にも愛用されている万成石であるが、芸術系の大学に通う学生から「万成石を分けてください」と言われた場合には、学割価格で出しているとのこと。「学割価格で出しているのは、作品に万成石を使っていただくことによってPRにもつながってゆくことを考えての取り組みでもあります。また、エンドユーザーが直接見学を希望される場合もありますね。奥様を亡くされた方が北海道から山を見に来られたこともありました。桜色の万成石が奥様のイメージにふさわしいということで、ホームページをご覧になり、足を運んでいただきました。」万成石はその色合いから特に女性から好まれるケースが多いようであるが、故人が女性の場合にもイメージのふさわしさから選ばれることも少なくないようだ。

銘石として知られる万成石の特徴は、その優美な色合いと耐久性のある品質を兼ね備えていることにあるが、それに加えてコストパフォーマンスの高さも挙げることができるようだ。 「小売店さんからよく耳にするのは、万成石はブランド力があるので顧客満足度が高いという声ですね。そのブランド力に比べて価格的にはリーズナブルだと考えていますので、コストパフォーマンスが高い石だと言えると思います。その大きな理由は部損の少なさです。石目が安定していてタマが出ず、大きなキズも少ないことから、当社原石の歩留まりは20%弱になっています。昨年9月に先代の社長が亡くなり、精神的なショックも大きかったのですが、自分たちでやっていくしかないですし、万成石の火を絶やさないようしっかりと守っていくことが弔いになると思っています。これからも多くの石材業者の方々に安心して使っていただけるよう努力していきたいと思います。」

有限会社武田石材

岡山県岡山市北区矢坂本町26-24
電話:086-252-3421

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