七山みかげ(ななやまみかげ)

◆ 採掘地・丁場

佐賀県唐津市七山地区

◆ 主な特徴

吸水率が低く、硬くて粘りのある石質、青味がかった独特の色合い・目合いが特徴。墓石材として使用されるケースが多いが、庭石用材として利用されるケースもある。

◆ 七山みかげの有名な使用例

七山みかげの岩質データ

分類:花崗岩

見掛け比重:2.69(t/㎥)

吸水率:0.090(%)

圧縮強度:194.27(N/㎟)

 

西日本を中心に支持を広げる硬くて青味の強い独特の石目

佐賀県唐津市の七山地区はその名の通り、七つの山に囲まれた地域として知られており、日本の滝百選にも選ばれている「観音の滝」や湿原植物の宝庫でもある「樫原湿原」があるなど豊かな自然に囲まれた地区である。
この七山地区で産出される「七山みかげ(商標登録済)」は平成元年の採掘スタート以来、九州・西日本を中心に着実に市場を広げてきた実績を持っている。今回の丁場リポートでは「七山みかげ」の採掘元:有限会社七山石材を訪れ、麻生雄一社長に現在の丁場状況、同社の取り組み等についてお話をうかがった。

唐津駅より車で40分ほどの場所に「七山みかげ」の丁場がある。道中、自然に囲まれた景色を楽しみながら車を走らせていくと、次第に原石を積んだトラックの姿が見えてくるようになる。すぐ手前に天山石の採掘場もあり、産地ならではの山の雰囲気を感じながら㈲七山石材・丁場下の休憩室に到着。麻生雄一社長が笑顔で迎えてくれた。
同社は麻生社長の父親である先代の麻生熊喜氏が平成元年に創業。七山地区で生まれ育ち、同地区の活性化(村おこし)をも視野に入れて創業した経緯を持つという。当初は造園業の仕事に携わる中で、七山みかげの丁場開発に着手。協力いただける出資者もあり、原石の採掘・販売へと本格的にシフトチェンジしていくことを決め、平成元年より有限会社七山石材として事業をスタートさせていった。

同社丁場の総面積は約18万7000㎡。吸水率が低く、硬くて粘りのある石質、青味がかった独特の色合い・目合いが評価され、販売エリア・実績も着実に伸ばしてきている。墓石用の原石販売がほとんどだが、中には庭園・建材用等として購入されていくケースもあるという。現在、採掘している岩盤は6年ほど前から進めている場所とのことで、比較的、良質材が採れやすいエリアだという。広大な敷地を持つ同社の丁場では大材が採れることも多く「これまでに一つで2000才くらいの原石が3つ採れた経験があります」と麻生社長。丁場にも大きな原石が数多くストックされていた。
同社では現在、社長の甥にあたる岩村稔貴さん、脇山司さんを合わせた3名体制。両氏とも腕の確かなベテラン職人で、麻生社長の丁場での役割は自身いわく〝雑用係〟とのこと。「ダンプで土を運んだり二人の手元として作業を手伝う程度」だと言う。言いかえれば、それだけ山の仕事を任せられる状況ということでもあり、社長は受注への対応など他の業務に専念できるようになっている。

業界状況が全体的に厳しくなっている中、同社の原石受注にも波があるというが、年間で約6000才の出荷を目指しているという。
「大きな原石が出てきて、割ってみたらスジもなく綺麗な石だった時は嫌なことなんかも全て吹き飛んでしまう。ただ、その逆の状態が続くと、気持ちも落ち込んでくる。山の仕事はそんなことの繰り返しで、悪い時もあれば良い時もある。そう言い聞かせながら、日々石と向きあっていますね」と麻生社長。

リフレッシュの意味も込めて、週に一度、カラオケ教室に通っていると話す麻生社長。3年ほど前にオリジナル曲(2曲)を収録したCDを出すなど趣味を楽しんでおり、それが心と身体の健康にも役立っていることだろう。68歳になった今も、ほとんど毎日、丁場に通い続けているという。
「この仕事は大変なこともありますが、自然に囲まれて、鳥のさえずりを聞きながら作業ができる。また、岩盤から原石を採り出して割る瞬間、これまで誰も目にしたことが無い未知の世界(石の割り肌)を見られることは感動ですよね。これからもこの『七山みかげ』を多くの方に使っていただけるよう、頑張って石を提供し続けていきたいです」。

有限会社七山石材

佐賀県唐津市七山池原甲1075
電話:0955-58-2291

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