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宇寿石(愛知)

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宇寿石(うすいし)

◆ 採掘地・丁場

愛知県岡崎市滝町・米河内町

◆ 主な特徴

宇寿石・臼石・白みかげといわれ、岡崎みかげの代表的な石材とされてきました。色が白く、均質な石目が特徴。鳥居や間知、外柵などとして使用されています

◆ 宇寿石の有名な使用例

宇寿石の岩質データ

分類:花崗岩

見掛け比重:2.65(t/m3)

吸水率:0.204(%)

圧縮強度:140.43(N/mm2)

地球から石を剥がす のが〝山石屋〟の仕事

白く整った石目が特徴

黒雲母と白雲母がほぼ均等に含まれ、白く整った石目を特徴とする宇寿石。古くから鳥居や間知石、墓石、建築土木材など幅広い用途で使われ、長く石都・岡崎産地の代表的な石材として重宝されている。 かつては多くの石材業者が採掘していた宇寿石だが、現在、継続的に採掘している宇寿石の丁場は1社のみ。今回は、その㈲中根石材の丁場を訪問させていただいた。

同社の歴史は戦前にまでさかのぼることができるという。「祖父がはじめた会社です。ただ、当時は違う山で採掘をしていたので、いまの丁場に移ったのは昭和20年代の後半。父が2代目を継いだときでした」と話すのは同社の3代目・中根浩司氏。昭和55年、20歳のときから山石屋の仕事一筋というベテランである。 「自分が始めた頃は岡崎にはまだ50軒くらいの丁場がありましたが、それでもピークの頃に比べたら3分の1程度。なにしろ昭和30年代には150軒もの山石屋が稼働していたと聞いています」

輸入石材による影響、業界を取り巻く環境の変化など、丁場数が減少していった経緯はさまざま。そうした中で、なぜ同社が市場から必要とされ続けたのか。中根氏の話からその理由の一端を探ってみたい。
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単価を下げずに クオリティで勝負

第一に挙げられるのは、同社が景気の波にさほど左右されなかったという点だ。「たとえばバブルの時代も、うちは丁場口が悪くて出す石がなかったという理由もあるんですけれど、あまり関係なくやってくることができたんです」と中根氏。さらに輸入石材が増えて単価が頭打ちになった時期も、消費税が導入された後も、あくまで単価を下げない経営姿勢を貫いてきたという。

「それでも必要としていただけるなら絶対に注文がくるだろうという自信がありましたし、何よりも値下げをしないかわりに、ちゃんとした仕事をやろうと考えたんです。たとえば納期は絶対に守るし、もちろん相談には乗りますが、できないことはできないとはっきり言って、単価もいい加減にはしない。 それで離れていったお客さんもいましたけれど、逆に強い信頼関係を築けたところも少なくありませんでした」

納期に遅れないためには雨の日でも作業が進められる環境が必要だと判断して、小割り作業場に大きな屋根を取り付けたこともある。「決して良質な石ばかりの丁場ではないんです」という中根氏は、これまでの山石屋の常識にとらわれず、一つひとつのことを自分の頭で考えながら、知恵と理論で勝負してきた自負があるという。「石を割るときも、全部自分で考えてきた理論がありますから、それを一つずつ説明することもできます。簡単にいえば、きちんと物理の法則を応用したうえで、自然に決まっている目に従って、石が割れたがっている方向に割ればいいんです」。

一方で原石を出すときだけは理論が通じない、いわばギャンブルの世界だ。「採りたい体積を考えて、表面に出ているキズを見て、それでも石の中がどうなっているのかわからないから不確定要素が多すぎるんです」と中根氏。長年の丁場職人としての気概と迫力をにじませた笑顔で、こう語ってくれた。「だからこそ、発破がうまくいって良い目が出たときは快感ですね。やはり山石屋は『地球から石を剥がす』のが一番大切な仕事なんですよ。」

これまでの知識を 継承していきたい

数年前に15年ほど一緒に働いてきた職人も退社してしまい、中根氏は現在1人で採掘・石割り作業を続けている。「うちも自分の代で終わってしまう可能性が高い」という中根氏にとって、心残りはこれまでに培ってきた技術の継承が途絶えてしまうことだという。 「私が26歳のときに先代の父が亡くなってしまったこともあって、わからないことがあると知り合いの山を見に行ったりしながら、これまでにどれほどの失敗を重ねて石を壊してきたことか。自分自身が若いときに困った経験があるので、できれば次の世代に何かを残していきたいという想いもあります。」

祖父が残してくれた丁場の古い写真1枚からでも、多くの知恵を引き出すことができたと振り返る中根氏。およそ30年も前から「いずれ誰かの役に立つかもしれない」と、できる限りの映像記録を残すように努めてきたという。 「もしも丁場をやりたいという人がいるなら、なにも包み隠すつもりはありません。ただ、経営が成り立つかは別の話ですけど(笑)、覚えの良い人なら半年で全部を教えられると思いますよ。」こつこつと時間をかけて山石屋としての知識と技術を一つずつ積み上げてきた中根氏。これからも宇寿石の伝統をできる限り長く守り続けていってくれることを願ってやまない。

有限会社中根石材

愛知県岡崎市滝町字山籠47
電話:0564-46-2053

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