千草石(ちくさいし)

◆ 採掘地・丁場

新潟県妙高市

◆ 主な特徴

もえぎ色が特徴で、肌目が美しく、吉縁の石としても知られています。市内に鎮座する白山神社の石鳥居をはじめ、歴代首相のお墓にも使用されています。

◆ 千草石の有名な使用例

千草石の岩質データ

分類:安山岩

吸水率:―

硬度:―

時の経過と共に味わいを増してくる銘石

素朴な温かみを感じさせる 独特な色合い・石質が特徴

新潟県の南西部に位置する妙高市は、妙高連峰をはじめとする雄大な自然の景観、湧出量豊富な温泉、スキー場なども多くあり、観光地として知られる地域でもある。 この妙高市の新井地区で産出される千草石は、深みのある色合いの中に独特な千草色(もえぎ色・若草色)が感じられる安山岩で、墓石を中心に彫刻、灯籠、記念碑、建築材など幅広い用途で利用されている。妙高市内に鎮座する白山神社の石鳥居や、故田中角栄のお墓などに使用されていることでも知られている銘石だ。

今回の丁場リポートでは、この千草石の採掘元である㈲岡田石材店(岡田克弘社長)をうかがった。同社工場につくと、岡田社長がちょうど山で小割りをした原石を運んできたところだった。話を聞くと、冬場は雪が丁場を覆ってしまうため、11月から3月までは採掘できないとのこと。そのため、その期間の受注に対してはストックで対応しているのだが、4月より採掘スタートすることとなり、まさに今年第一号となる原石を運び出してきたタイミングでもあった。
岡田社長によると、千草石の採掘は明治初期から始まったとのことで、主に地元や新潟県内を中心に愛用されてきた。㈲岡田石材店では千草石の採掘をはじめ加工・施工などの受注に幅広く対応しているが、今も同社で建立する墓石の4割は千草石を使用しており、それらは全て自社加工のものだという。このところ「日本の石」への再認識が進む中にあり、千草石も全国各地の石材業者からの引き合いが増えつつあるようで、原石を出荷する割合も増加傾向にあるという。やさしい色合いの石目、素朴な温かみを感じさせる石肌・皮肌など、千草石ならではの魅力が、その評価に繋がっていることだろう。
石彫刻においても数多く愛用されており、繊細なフォルム・意匠づくり、ノミ跡とのコントラストなど、多彩な表現力を発揮できることも大きな特徴。また、原石(玉石)の表面部分が卵の殻のように剥がれるものもあり、その表面部分を活かした作品づくりができるなど、様々な魅力をあわせもつ素材でもある。

玉石の状態で産出 長さ7mもの大材も

㈲岡田石材店の工場から車で10分ほど走らせると丁場に到着する。千草石は山の中に玉石の状態で埋まっているとのことで、記者が取材に訪れた日の3日前から採掘し始めたばかりだったそうだが、既に多くの原石が掘り出されており、その光景からも安定供給できる状況がうかがえた。現在、採掘しているところは山頂から10メートル以上掘り下げた場所であり、石目や色合いなども比較的整ったものが採れる安定した状態だという。
玉石ゆえに原石の大きさは、それぞれによって異なり、中には長さ7~8メートルもの大材が採れることもあるそうだ。同社では現在、四代目の岡田社長(60歳)とご子息の岡田直生さん(31歳)、そして入社2年目の星野利彰さん(26歳)の3人体制で仕事を進めている。直生さんは岡崎産地における4年の石工修業、さらに帰郷後、同社における10年もの経験を重ねながら、石工として、さらに同社の五代目に向けての歩みを着実に進めてきている。 素朴な温かみを感じさせる独特な色合い・石質を特徴とし、時の経過と共に味わいを増してくる銘石・千草石。幅広い可能性を持つ、この千草石の産出地に、ぜひ足を運ぶことをお勧めしたい。

有限会社岡田石材店

新潟県妙高市中川4-3
電話:0255-72-3943

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