銘店“石屋”シリーズ  門畑石塔店(長崎県南島原市)

お客様一人ひとりの想いに寄り添い、そのご家族にふさわしい供養をご提案・サポートします。

長崎県南島原市で65年以上にわたって石材業を営む門畑石塔店は、墓石の加工・施工・販売を主力事業とし、これまでに数多くの墓石を建立しています。近年では多様化する供養のニーズに対応するため、取扱アイテムを拡充し、お客様への提案力や対応力の向上に努めています。同社代表の門畑正志さんにお話をうかがいました。

門原正志さん
昭和63年生まれ。小学生から高校生まで野球を続けてきた体育会系人。飲食業(餃子の王将)で正社員として働いた後、家業である石材業へと。持ち前の明るい笑顔と、気さくで話しやすい性格も魅力。地域や業界の団体・勉強会にも積極的に参加し、知見や人脈を広げながら自身の成長に繋げています。平成29年に門畑石塔店の代表に就任。

―はじめに御社創業の経緯を教えてください。

門畑 祖父が地元の石材店で修業を積み、石の加工や石積みといった技術を習得した上で、昭和33年に門畑石塔店を創業しました。創業当初から墓石の加工・施工・販売を主な事業としており、父・母と代を受け継ぎながら、これまでおよそ70年にわたって、多くの墓石を建立させていただいています。

門畑石塔店が手がけたお墓の施工例

―御社ならではの特徴を教えてください。

門畑 今も墓石に関する仕事が中心ですが、文字彫刻をはじめ、石を加工するための機械・設備が整っている点も、当社の特徴だと思います。これにより、古いお墓のリフォームや磨き直し、クリーニング、文字部分の金箔の入れ直しなど、様々なご要望に対応できています。
また、レーザー彫刻機もあり、石に細かい文字やイラストを彫刻することも可能です。そのため、石の記念碑やウェルカムボード、タンブラーなどへの彫刻のご依頼にも対応しています。

門畑石塔店にあるレーザー彫刻機

お墓づくりにおいて、特に力を入れているのが墓石の地震対策です。これまで地震が起きた地域に足を運び、様々な墓石の倒壊事例を見てきましたが、最も重要なのは基礎づくりだと考えています。ただし、基礎部分は完成後には見えなくなってしまうため、その良し悪しがわかりにくいという課題もあります。そこで当社では、基礎工事の転圧・打設の様子や、鉄筋を組んだ状態などをすべて写真に収め、お客様にご確認いただけるようにしています。
さらに、お墓工事の全工程を記録し、報告書としてまとめてお渡ししています。この報告書は、当社のお墓づくりに込めるこだわりや仕事内容をご確認いただける資料として、お客様からも高くご評価いただけています。

―御社では供養に関する幅広いサービスを取り扱っていると聞きました。

門畑 近年は少子化の進行など、社会構造の変化によって、家族のかたちも多様化しています。当社では、そのような背景を踏まえ、様々なご家族の供養ニーズに対応できるよう、多様なアイテムやサービスを取り扱っています。
例えば、ご家族にお墓を継ぐ方がいらっしゃらない場合、「今あるお墓を将来的にどうすれば良いのか」と不安に思われる方も少なくありません。そうした方々のために、最後にお墓を守られている方が亡くなられた後、当社が責任をもってお墓を解体・撤去することを、生前にお約束するサービスも用意しています。
また、ご自宅でお骨を手元に置いて供養できるアイテムや、永代供養墓などへお骨を移す際の粉骨のご依頼、海洋散骨などのご要望にも対応しています。これらは地域によってはまだ浸透していない場合も多いでしょうが、お客様には様々な選択肢があることを「知らなかった」と後悔してほしくない、という想いを持っています。そのため、今後も、より多くの選択肢をご提示できるよう、取扱サービスの充実に努めてまいります。

字彫り作業をする門畑さん

―ここでお仕事以外のお話も。学生時代はずっと野球を続けていたそうですね。

門畑 はい、小学校から高校まで野球を続けていました。ポジションは外野で、主に一番バッターを任されていました。想像できないかもしれませんが、当時は今よりもずっとスリムで、足も速かったんです(笑)。
特に高校時代の練習は厳しくて、まだ「水を飲むな」「座るな」といった指導が当たり前の時代でした。あの過酷な練習を乗り越えた経験が、今でも自分の中で大きな力になっています。「あの時より辛いことなんて、そうそうない」という気持ちもあって、少々のことではへこたれない精神力は身についたと思っています。

―石材業を継ぐ前には、まったく別の業種で働いた経験もあると。

門畑 実は野球でけがをした経験がきっかけで、医療の世界に進みたいと思い、高校卒業後は愛知県の専門学校で医療について学びました。ただ、その過程でいろいろな事情が重なり、別の道を模索していた時に、先輩に連れて行っていただいた「餃子の王将」で食べたチャーハンが、とにかく美味しかったんです。それがきっかけで、すぐにアルバイトとして働かせていただくことになり、その後、経験を積んで正社員として3年間ほど勤務しました。
王将では、多くのスタッフと協力しながら効率的に店舗をまわしていくことや、社会人としての心構えなど、本当にいろいろなことを学びました。先輩から教えていただいたことで特に印象に残っているのは、「仕事を楽しめる人は、人生そのものも楽しめる」ということ。気持ちの持ちようで、物事の見え方が大きく変わることも教えていただきました。あの時の経験は、今の仕事や日常の様々な場面でも大いに役立っています。

石材業の仕事の魅力を、どのように感じていらっしゃいますか。

門畑 私たちの仕事は、自分たちがつくったものに手を合わせていただける、とてもやりがいのある仕事だと感じています。お墓を建てられたお客様とは、その後、お子さんやお孫さんともご縁が繋がっていくことが多く、そういった関係性を築ける仕事は、なかなか他にはないと思います。
また、お墓を建てることで、お客様の心に安らぎが生まれることも多くあります。完成したお墓を前に、晴れやかな表情をされているお客様を見ると、本当にうれしくなりますし、「この仕事をしていて本当に良かった」と再認識する瞬間でもあります。
時代の流れとともに、供養のスタイルも多様化していますが、故人を偲び、弔いたいというお気持ちは、これからも変わることはないと思っています。そうしたお客様のお気持ちにしっかりと応えていくことこそが、私たち石材店に求められている、最も大切な役割だと考えています。

―今後の目標を教えてください。

門畑 お客様が亡き方の供養や終活に関して悩んだ時に、まずは「門畑石塔店に相談しよう」と思っていただけるお店になることです。そのために、今後も新しい情報やサービスを積極的に取り入れ、いろいろな資格なども取りながら、お客様に役立つ存在になれるように努力を続けてまいります。これからも「楽しく、前向きに」をモットーに、仕事に向き合っていきたいと思っています。

門畑石塔店が手がけた記念碑の施工例 (一部にレーザー彫刻機を使用)

門畑石塔店

所在地:長崎県南島原市加津佐町乙3980
TEL:0957-87-2515
ホームページ:https://www.kadohata.com/

いしマガ取材メモ

バイクのツーリングが趣味という門畑さん

バイクでのツーリングを趣味とする門畑さんは、思い立ったらすぐに行動に移すアクティブなタイプ。業界の展示会にも積極的に足を運び、そこで得た情報やサービス、人脈を活かしながら、自社の取扱メニューを年々拡充してきています。墓石の地震対策といった高い専門性が求められる分野にも真摯に取り組み、その仕事ぶりなどが評価され、近年では同業者から仕事を頼まれるケースもあるそうです。
一人ひとりのお客様に寄り添った提案と丁寧な対応を心がけているという門畑さん。お墓や供養について少しでも気になることがあれば、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。きっと的確なアドバイスが得られるはずです。