内垣石(うちがきいし)
◆ 採掘地・丁場
福岡県京都郡みやこ町犀川
◆ 主な特徴
九州の銘石として知られており、青味を帯びたきめ細かい石目が特徴。硬質で艶持ちも良く、高級墓石材として使用されています。
◆ 内垣石の有名な使用例
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内垣石の岩質データ
分類:花崗岩
見掛け比重:2.65(t/㎥)
吸水率:0.100(%)
圧縮強度:171(N/㎟)
100年以上の 歴史と実績
九州・福岡県で採掘される「内垣石」は今も高級墓石材として根強い需要に支えられており、主に西日本や東海地区で使用されている。青味を帯びたきめ細かい石目を特徴とし、硬質で艶持ちも良く、取扱い石材店からは「吸水率も低く、経年劣化が少ない」といった評価を得ている。 かつては複数社が採掘していた「内垣石」だが、現在は㈲大束石材工業所一社のみ。同社では100年以上前から「内垣石」の採石を始めており、現在は四代目となる大束裕社長が経営のかじ取りを託されている。
4月上旬に丁場を訪問させていただいたところ、現在は継続的に山作りを行なっているそうで、「今年に入ってから、なかなか良い岩盤に行きついていない」とのこと。自然を相手にする仕事ゆえの苦労、そして継続的に寄せられている受注に対応できないジレンマを抱えつつも、「今は我慢の時。いただいているご注文に早く対応できるよう努力します」と、前向きな姿勢を見せていた。
採掘元の㈲大束石材工業所では現在、大束社長を中心に6人の職人が丁場で石と格闘している。その中の2人は30年以上のキャリアとのことで、石と山を知り尽くしているベテラン職人の存在は、大束社長にとって心強いものがある。大束社長は代々引き継いだ山と「内垣石」に対する思い入れは強く、「自分にとっては日本一の石。国内で唯一、弊社で採れる内垣石を決して幻の石にはしたくない。今後も長く、山を維持できるようにすると共に、ブランドの銘石として認知いただけるように努力していきますので、よろしくお願いします」と力強く語ってくれた。
みやこ町犀川 内垣地区で採石
「内垣石」が採掘されている京都郡みやこ町犀川は、福岡県の北東部に位置し、小倉駅から車で約1時間の場所にある。犀川という地名は中心部を流れる今川の旧称から来たと伝えられているそうで、古来より山伏の修験道の霊場として知られる蔵持山、鎌倉時代に豊前守護職として活躍した城井宇都宮氏にまつわる史跡、さらに江戸時代後期の住居跡を残す旧庄屋永沼家住宅(国重要文化財)など、数多くの文化遺産が点在している。また、ゆず、お茶、地酒などの特産品もあり、観光に訪れる人も多いという。「内垣石」はそんな文化と自然に恵まれた犀川の内垣という地区で採掘されている。
有限会社大束石材工業所
福岡県京都郡みやこ町犀川犬丸1072-2
電話:0930-42-0916