本御影石(ほんみかげいし)

◆ 採掘地・丁場

神戸市御影地区

◆ 主な特徴

神戸市御影地区で産出される希少価値の高い花崗岩。「みかげ石」とはもともと、この地区から産出された花崗岩の俗称だったもの。硬質の中目石で光沢に優れている特徴があります。

◆ 本御影石の有名な使用例

本御影石の岩質データ

分類:花崗岩

吸水率:―

硬度:―


兵庫県産「本御影石」

御影石の代表格ともいえる銘石~硬質で淡い桜色が大きな特徴

兵庫県神戸市東灘区荒神山地区(旧:御影村)で産出される『本御影』は、硬質の中目石で、艶もちの良さとベージュがかった淡い桜色が大きな特徴である。
この地区から産出される石が全国に知れ渡るようになり、花崗岩の総称として「御影石」の名が広まっていくことになった。御影石の代表格ともいえる石種であるが、昭和中期の採掘禁止によって、近年では、その稀少価値から幻の銘石とも称されることがある。

「本御影」産地は、近世から採掘が盛んになり、江戸時代中期に全盛期を迎えたという。江戸後期の郷土誌によると、御影村の石工が六甲山南麓から切り出した岩石を牛車で運び、石屋川沿いに並んだ石屋や石工の手で加工され、御影の浜から船で各地に運ばれたとのこと。
ちなみに、この「御影」の地名の由来は古代、神功皇后が遠征の折り、現在の阪神御影駅付近にあった泉を鏡代わりに姿を映したとの言い伝えから来ているという。
石材産地として発展していった同地区だが、昭和31年、六甲山一帯約6800ヘクタールが瀬戸内海国立公園に編入され、採掘が禁止されることになってしまう。その後は、稀少価値がどんどん高まっていった「本御影」であるが、それまでに採掘した原石や、造成などの際に地中から出てくる石材等は大切にストックされており、今もなお、墓石をメインに記念碑や歌碑などに利用されている。

「幻の銘石」とも称されることから、入手困難なイメージを持つ人も多いだろうが、現在も、この「本御影」を豊富にストックし、産地の灯を守り続けているのが石久 乾石材店だ。かつての主要採石場である荒神山は、同社から北へ400メートルの場所にある。同社には現在も「本御影」の原石が大量にストックされており、その光景は壮観である。

「本御影」の原石を大量にストックしている(石久 乾石材店の敷地内にて)

同社の二代目・美濃岡伸也社長は、「本御影」に込める想いを次のように話している。
「本御影の魅力は、桜色の優しい独特の色合いと、岩質が緻密で硬いこと。硬いがゆえに艶を出すのに手間はかかりますが、その分、艶もちが良く、江戸時代から最上級の評価を受けてきました。
その品質の良さは、大阪城の石垣や、京都の三条・五条大橋の旧橋脚など、数多くの著名建造物に使われていることからも、ご理解いただけるものと思います。
本御影は経験を積んだ職人の手でうまく割っても、内部に筋状の模様(帯)やキズ、黒玉・白玉があったりして、歩留まりも決して良いとは言えません。製作には苦労が伴いますが、お客様が希望した製品が完成し、その光沢・色合いの素晴らしさなどに感動され、喜ばれている姿を見た時には、この仕事をやってきて本当に良かったと誇りに思います。
これからも最高の材料を扱っているという誇りを持ち、お客様の希望に叶う材料をお届けしてまいります」。

「本御影」の前に立つ美濃岡伸也社長

 

本御影の石久 乾石材店

兵庫県神戸市東灘区住吉台33-1
電話:078-842-0403

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