浮金石(うきがねいし)

◆ 採掘地・丁場

福島県田村郡小野町

◆ 主な特徴

全体に金を散りばめたような美しい斑れい岩で、日本を代表する高級石材の一つとされています。墓石材としてはもちろん、上皇陛下ご成婚記念の噴水(昭和36年)や沖縄県戦没者慰霊碑、東京駅などの建築材としても使われています。

◆ 浮金石の有名な使用例

東京駅、上野駅 など

浮金石の岩質データ

分類:斑れい岩

見掛け比重:2.997(t/m3)

吸水率:0.011(%)

圧縮強度:120.82(N/mm2)

 

国産黒みかげの高級銘石

福島県郡山市中田町で採石されている浮金石の丁場を訪れてみた。山並みしか目に入らない聖地の雰囲気に包まれていく。浮金石はその名の通り、散りばめられた金粉が表面に浮いているような美しさを持つ石で、貴重な国産黒みかげの高級銘石として知られている。黒みかげと呼ばれているが、地質学上の分類は花崗岩ではなく斑レイ岩になる。墓石のほか建築材としても使われている石だ。

採石場のある山は黒石山という名前で、黒い石が採れたところから名前の由来があるのだろうか。標高896m。平地との気温差は5度前後あるようで、冬場は水が凍ってしまい採石ができない。1年のうちで春から秋にかけての約7カ月間で採石は集中的に行なわれているようだ。

現在、浮金石を採掘しているのは株式会社フクイシ(佐藤利男社長)一社のみとなっている。ワイヤーソーによる効率的で安全な採石が行なわれている。従来の火薬を用いた発破作業によってできる火薬傷もなく、高さ10mを超える大材もスムーズに切断できるとのこと。日本有数の貴重な銘石を大切に扱っている様子がうかがわれる。ワイヤーソーでカットされた石の表面はやや白っぽくも映るが、岩肌を見ると浮金石ならではの黒味がある。

採石作業をしている方の話によれば「他の石の丁場で重ねや二番と呼ばれているキズがありますが、この山では縦横無尽にキズが入っているので、岩盤を読むことがなかなか難しいのです」とのこと。ワイヤーソーによって歩留まりが向上したとはいえ、墓石として使えるものは5%前後の狭き門になるようだ。

浮金石の埋蔵量は十分にあり、枯渇する心配もないが、高い品質のものを出すためには何重ものチェックを経なければならず、それなりの時間を要する。しかも採石できる半年強の期間で1年分を賄わなければならないため、丁場での作業は忙しい。

「いい層に当たったと思っていても細かいキズが出る場合もありますし、逆にこの場所はあまり良くないだろうと思っていても意外にきれいな状態の石が採れる場合もあります」と現場の声。長年の経験を積んでいても、切ってみなければわからないこともあるという。

山でのチェックを経た石は工場に運ばれるが、工場での加工過程でキズが見つかることもあるそうだ。

浮金石の丁場に立ってみると、まわりには美しい空と緑が広がっている。神聖なる境地といった雰囲気のもと、素晴らしい眺望を持つこの山は、日本を代表する銘石のひとつが産み出される場所としてふさわしいといえるだろう。

 

株式会社フクイシ
福島県田村市船引町堀越字堰下195
TEL:0247-85-2914

 

 

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