石コラムVol.1 どこにでもあるけれど、とても貴重な花崗岩

墓石に使われている石の中で、最もポピュラーなものが花崗岩です。一般的には御影石とも呼ばれています。マグマが地中でゆっくりと冷却されてできた花崗岩は、主成分が石英と長石で、その他に黒雲母などの有色鉱物が1割程度含まれています。

花崗岩は陸地を構成する岩石の中ではごく一般的なもので、世界中にあります。日本では、阿武隈高地、関東北部、飛騨山脈、木曽山脈、美濃高原、近畿地方中部、瀬戸内海から中国山地にかけての地域、そして北九州など、全国各地に広く分布しています。

「どこにでもあるなら、石材はもっと安くてもいいのでは?」と思う方もいるでしょう。確かに花崗岩はそこにでもあるのですが、ただし、墓石に使われるような石材となると、そう簡単には手にできないのです。墓石としてふさわしい石は、キズやムラがなく、石目が均一に詰まっていて、上品な色味を持っていることが求められています。

花崗岩の山からはたくさんの石が採れるのですが、その中で墓石として使われるのはごく一部だけで、後の大部分は建築や土木に使われるか、あるいは、そのまま使用されないというケースも多くあります。

護岸工事や敷石工事のために使われるような石材であれば、キズが入っていようが、石目がふぞろいであろうが、問題にはなりません。ところが、墓石となるとそういうわけにはいかないのです。

採石場を見学するとわかりますが、岩盤には至るところにキズがあります。大きなキズは岩盤でも目に見えますが、小さなキズは採掘して割ってみないとわかりません。採石場で割ってみて、使えそうだと判断した石を工場に運ぶわけですが、そこでカットして磨いてみたときにようやくわかるもっと細かいキズもあるのです。

採石場ではじかれ、工場でもはじかれる石の量は、墓石として使えるものをはるかに上回ります。石の種類や採石場にもよりますが、少ないところでは3%しか墓石にならないといわれています。

花崗岩はどこにでもありますが、墓石として使われるものはとても貴重なのです。