山田真喜子の「イタリア石風景」Vol.2~旧ユーゴスラビアのお墓を訪ねて~

21年前に5年間の内戦が終わった旧ユーゴスラビア。その分断の象徴ともいえるサライエボ市と周辺にあるイスラム教のお墓を訪れる機会に恵まれました。今回はイタリアの話題ではありませんが、ご紹介させていただければと思います。

この地の寺院にはミナレットと呼ばれる細長く高い円筒状の塔が建ち、ここにイスラム教徒の方々が集まることがわかります。首都となったサライエボ市の中心地にはユダヤ教やキリスト教など歴代の有名な寺院が建ち並んでおり、宗教の共生と市民の営みについて、単なる観光で行ったとしても考えさせられるものがあります。旧市街地の賑わいにアラビア系と混合された異国情緒に惹かれる方も多いかもしれません。

寺院とその中庭に置かれる噴水は四角もしくは八角形状が多く、寺院のドーム・頭部は玉ねぎのようなイメージを持つ方も多いでしょう。地域の重要な役目を果たした人のお墓の上部は、玉ねぎ型というよりはターバンを巻いたような形をしているものも見られます。

お墓の前方は全てメッカ(サウジアラビア・メディナ)のほうへ向かって建てられており、イスラム教の統一感もうかがえます。この地方では火山岩や凝灰岩、花崗岩も現地で採掘される白系の石が使われていることも印象的でありました。

筆者=山田真喜子(イタリア在住)