山田真喜子の「イタリア石風景」Vol.6~サン・ピエトロ広場~

石の魅力を体感できる「サン・ピエトロ広場」

イタリアで暮らす私たちの広場のイメージをつくりあげている源として、古代ギリシアでつくられた「アゴラ」という公共空間の広場、古代ローマ時代につくられた遺跡「フォロ・ロマーノ」、さらにローマ市内にある「サン・ピエトロ広場」などがあげられます。

ローマ市は七つの丘陵地帯にテヴェレ川が流れています。ローマ市内を歩くと多くの教会の正面は広場になっています。

 

写真にある「サン・ピエトロ広場」は幅240メートル。この広場の見所はイタリア・ティヴォリ地方で採れる石材「トラヴェルティーノ」(トラバーチン)を使い、楕円形に4列、石柱(合計284本)が並ぶ回廊です。

 

また、一本の花崗岩で出来た高さ約26メートルのオベリスク(古代エジプトで神殿の前などに立てられた石造のモニュメント)も見所です。このオベリスクは古代ローマ時代に皇帝から法王に贈呈されたものとして知られているものです。

ローマ市内には13本のオベリスクが立っていますが、この中には古代ローマ時代にエジプトから略奪されたものもあり、エジプト古代王朝時代に作られた一本石のオベリスクが歴史の荒波にもまれながら現代まで継承されています。欧州ではいまだにオベリスクが紀元前にどのように作られたのか?というテレビ番組が放送されているくらい注目されているトピックでもあります。

 

大聖堂にある半球形の丸屋根・丸天井は「クーポラ」と呼びます。この「クーポラ」の起源は、古代ギリシアの墓所の造りからだと言われています。

 

イタリアへお越しの際には、ぜひ立ち寄っていただきたい石の名所でもあります。