できるだけお客様の好みに寄り添っていきたい

愛知県犬山市の髙木石材店は、地元の公共工事を数多く担当するなど、地域密着型の石屋さんとして知られている。
現在の代表は元食品メーカー勤務の鈴木一成さん。
鈴木さんが石屋の仕事を継ぐことになった経緯や、仕事をする上で大切にしていること、はたまたプライベートのお話まで、いろいろなことを語っていただきました。

鈴木一成(すずき かずなり)さん
昭和47年・愛知県生まれ。
食品メーカー勤務を経て、妻の実家の家業であった髙木石材店の代表に就任。
現在は墓石の営業・提案から施工現場の立ち会いまで、基本的に1人ですべてのお客さんを担当している。趣味は登山と写真。現場でバリバリ動けるようにと、週に一度のペースでジムにも通っている。

 

―鈴木さんは、どのようなきっかけで石材店のお仕事を始めたのですか。

鈴木 髙木石材店は、もともと妻の父親がやっていたお店なんです。私の前職は食品メーカーで、スーパーに海産物商品などを卸す営業の仕事をしていたのですが、結婚してしばらくしてから義父が亡くなってしまい、妻から「あなたにお店を継いでほしい」と頼まれたのがきっかけでした。

実は義父が亡くなる前に、石屋さんの仕事について直接お話を聞く機会があり、ひそかに「自分でもやれるかもしれない」と考えたことはありました。それに工場や倉庫などの設備はそのまま残っていましたから、ここで廃業してしまうのはあまりにももったいない。もちろん、それまでの仕事とはまったく違う分野でしたが、なんとかやってみようと決心したんです。

それが平成17年頃のことで、最初の1年は機械や展示場を整備したり、地域誌に広告を出したりして、少しずつ地域での認知度を高める努力をしていました。石を切ったり磨いたりといった仕事をいちから教えてくれたのは、義父が昔から一緒に仕事をしていた石工さん。そうして周りのいろんな人に助けられているうちに、少しずつ仕事が軌道に乗ってきたんです。

 

―石屋さんという仕事の、どんな部分にやりがいを感じていますか。

鈴木 今は営業などの接客から施工現場での立ち会いまで、基本的に私一人ですべての工程に携わっています。そのため、一人ひとりのお客様との距離がとても近い。そこが前職との大きな違いですね。最後に「ありがとう」と感謝されるときの喜びの大きさも、まったく違います。

それに、自分のアイデアでどんどん新しいことを取り入れていける点も大きな魅力です。ホームページを立ち上げたのも、まだインターネットが普及し始めた時期だったので、比較的早かったと思います。あとは最近の例でいいますと、墓石設計用のCADを導入しました。これがあることで、お客様の要望に合わせて数種類のデザインをつくったり、現場の写真にあてはめてみて事前に確認していただくようなこともスムーズにできるんです。

そういうふうに図面の提案を工夫できたり、あとは追加字彫りや磨き直しなどといったリフォームも含めて、すべてを自分の責任で行なっていくことができる。こういった仕事の進め方は、今後も大切に守っていきたいと考えています。

―お仕事以外の部分で、鈴木さんのプライベートについても教えてください。

鈴木 家族構成でいうと、娘2人と息子1人の5人家族です。あと、若い頃からの趣味は登山と写真。大学時代には、5~6人のパーティでよく山に登っていました。今でも印象に残っているのは南アルプスです。一番最初に登った大きな山で、きれいな富士山がずっと見えていたのを今でもおぼえています。

写真のほうは、社会人になってから会社の先輩に誘われて始めました。職場のとなりにあったカメラ屋さんでいろいろ聞いたりしながら、コンテストなどにも応募していました。『山と渓谷』という雑誌で年間の準グランプリに選んでいただいたり、全日本山岳写真協会で大賞をいただいたこともありました。

最近は、あまり山には登っていませんが、写真のほうは仕事にも役立っています。お墓の開眼法要の様子を撮影したり、最後に皆さんの集合写真を撮ったりして、そういった写真をお客様にプレゼントさせていただいています。

 

―髙木石材店は、地元とのつながりも強いと聞いています。

鈴木 それは私が地元の活動をいろいろやっていることも関係しているかもしれません。以前は犬山西小学校でPTAの会長を務めていましたし、40歳までは犬山青年会議所にも所属していました。今は犬山ロータリークラブや商工会議所、地元の神社の保存会のほか、保護司のボランティアも行なっています。

また、地元にある誉高等学校の野球部が夏の甲子園に初出場を果たしたのですが、野球部の部長さんからご連絡をいただきまして、その功績を称えるための記念碑の建立もご依頼いただきました。

あとは犬山ロータリークラブの設立50周年記念碑や、犬山城の近くにある針綱神社の亥子会初老記念碑、本厄を迎えたメンバーで奉納している石碑と石畳をつくったり、地元の公共事業などにも数多く携わっています。こういった地域の仕事というのは、自分としてもすごくうれしいものですね。

 

―最後に、今後の目標などを聞かせてください。

鈴木 最近ですと店の看板を新しくしたり、クレジットカード決済ができるようにしてキャッシュレスに対応するなど、毎年なにかしらのモデルチェンジやステップアップを心がけているのですが、そういった取り組みは今後も継続していきたいと思っています。

あとはやはり、お客様が求めているものを提供し続けていくこと。お客様のお話を伺っていると、「何を買ったらいいのかわからない」という人はいますけど、だからといってなんでもいいわけではありません。それぞれの人に、ちゃんとした好みはあるものだと思います。そういう部分はきちんと取り入れられるように、しっかりとヒアリングをして、お客様の理想に少しでも寄せていく。そういった姿勢は、これからも大切にしていきたいと思っています。

 

髙木石材店

所在地:愛知県犬山市大字上野字大門732ー1
TEL:0568ー62ー8833
ホームページ:https://takagi-stone.com/
主な業務内容:墓石の設計・デザイン・施工・販売、墓石のクリーニング・リフォーム、灯籠・仏像・モニュメント・記念碑等の製作・施工、石張り・石積み等の各種石工事など。
犬山市を中心に愛知県尾張地区全般のエリアに対応しています。

いしマガ取材メモ

ホームページの運営や地域誌への広告掲載のほか、毎月のニュースレターも欠かさずに発行しているという鈴木さん。各地の展示会に足を運んだり、いろいろな人の意見を素直に聞き入れたり、普段から積極的な情報収集を心がけていらっしゃいます。
愛知県内で2社しか扱えないデザイン墓石「やわかぜ」や地震対策商品「安震はかもり」の取扱店にもなっているなど、常にお客様のためになることを考え、さまざまなアイデアを柔軟に取り入れていく。そういったこだわりは、今回の取材でも随所で感じられました。また、自分の主張を押しつけるのではなく、お客様の想いをかたちにしていくことを大切にしていらっしゃる。そんなところも、現代のニーズに合っているのではないでしょうか。