化学組成の違いが岩石の色を生む

記者 先生、今回もよろしくお願いします。
ちなみに4時間目と5時間目では、火山岩と深成岩の違いやその理由などについてお話していただきました。

先生 そうですね。今日はさらに一歩踏み込んで、岩石の色や模様などの違いについて解説していきたいと思います。

記者 色や模様…ですか。

先生 ちなみに地学の教科書では、色の分類は黒か白かの2種類です。

記者 そういえば石屋さんの場合、黒御影と白御影のほかに、青いのや緑っぽい石を青御影と呼んだりしていますよね。

先生 ただし、地質学的にいうと黒御影、つまり黒い花崗岩というものは存在しません。前回のときも申し上げましたけど、花崗岩の黒いものには斑レイ岩という別の名前がついています。
ちなみに地球という大きなスケールで見てみると、海から突き出している大陸地殻はおもに白っぽい花崗岩。海底にあたる海洋地殻は、おもに黒っぽい玄武岩でつくられているんです。

記者 そういう色の違いは、一体どのようにして生じているんですか?

先生 簡単にいいますと、それぞれの化学組成の違いです。つまり、岩石が冷えて固まる前の状態であるマグマの組成が反映されているんです。

記者 組成ということは、そこに含まれている鉱物の種類が違うとか、そういうことですか?

先生 まさしくそのとおりです。黒っぽい岩石には黒っぽい鉱物、すなわち黒雲母や輝石、磁鉄鉱などが多く含まれているんです。一方で白っぽい岩石には、石英や斜長石、カリ長石などが多く含まれているというわけですね。

記者 なるほど…。じゃあ、単純に見た目の違いだけではなくて、きちんとした科学的な根拠があるというわけですか?

先生 ええ、とくに白と黒の境目は科学的にもきちんと決められています。つまり、昔は白か黒かを肉眼で見分けていましたが、今ではそれが科学的にも意味のある分類だったことがわかっているんです。

 

石を磨くことで色が変わる理由

記者 ところで先生のおっしゃる黒っぽい石というのは、私から見ると、いわゆる黒い色じゃない。むしろ灰色に近い感じなんです。

先生 確かにそれはそうかもしれません。

記者 ただ、その灰色の石を磨いていくと、なぜか少しずつ黒くなっていく。これはなぜなんでしょう。なにか科学的な理由みたいなものはあるんですか?

先生 う~ん。それは難しい話ですね。

記者 ちなみに白っぽい石は、どれだけ磨いても黒くなりません。色が変化するのは、黒や灰色っぽい石だけなんです。

先生 一つ言えるとしたら、化学組成とは関係ないと思います。いくら磨いたからって、決して中身の化学組成自体が変わってしまうわけではありません。

記者 確かに。

先生 おそらくですけれど、私の考えでは光の乱反射が影響しているのではないでしょうか。磨く前はデコボコしていた表面が、少しずつ平らになっていくことで、光の当たり方も変わってきますからね。

記者 あ~、なるほど。

先生 それともう一つは、限りなく平らに近づけていくと、そこに含まれている結晶がよりはっきりと見えてくる。そういったいくつかの要素が原因になっているんだと思います。

岩石の色や模様について説明する乾先生

ナデやキズは地下で生じる

先生 さて、次は岩石の模様についてです。

記者 模様っていうと、石屋さんでいうところのナデみたいなものですか?

先生 それも模様の一種です。ちなみに私たちは流理と呼んでいますよ。溶岩が流れるときにできる模様で、粘り気のあるものをかき混ぜたマーブルケーキのような流れ模様といったイメージでしょうか。流紋岩のシマシマが有名ですね。

記者 流紋岩って、前回のお話にも出てきましたよね。確か、もともとは花崗岩と同じマグマからできている火山岩だとか…。

先生 ええ、そのとおりです。

記者 ただ、噴火して流れた溶岩にシマシマができるのは、なんとなく理解ができるんです。でも花崗岩は深成岩じゃないですか。地上に出て流れるわけじゃないのに、なんでシマシマになるんですか?

先生 マグマが流れるのは、なにもマグマが地上に出て溶岩になったときだけとは限りません。マグマは液体ですから、地下の深いところで一つの場所から別の場所へ流れることもありますし、多量のマグマが溜まっている〝マグマ溜まり〟の中でも流動すると考えられているんです。

記者 なるほど。言われてみれば確かに…。ということは、ナデと同じようにキズもやはり地下の深いところでなにかが起こっているということですか?

先生 それは全体が少しずつ結晶化していくときに、最後まで液体の状態で残っている部分というのがあるはずで、そういうことが関係しているのだと思います。あとは地下の深いところでマグマを取り囲んでいる壁のかけらが、マグマの中に取り込まれてしまったり。黒い玉のようなキズは、おそらくそれが原因だと思われます。

記者 なるほど~。

先生 もう一つ考えられるのは、岩石が冷えたあとで割れてしまい、その隙間を沈殿した別の鉱物が埋めてしまったりとか。

記者 いろんなケースが考えられるんですね。ちなみに石屋さんは、原石に水をかけて「ここにキズが走ってる」と見つけてしまうのですが、あんな髪の毛より細いキズでもよく見分けられますよね。いつも感心してしまいます。

先生 ええ。私も丁場に足を運んだときなどは、いろんなことを勉強させていただいていますからね。
さてさて、今日のところはここで終わりにしましょうか。

記者 はい先生、ありがとうございました。今回もすごくわかりやすかったです。
次回もよろしくお願いいたします

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