京都の高桐院にある細川忠興・ガラシャ夫妻のお墓は、灯籠型の墓石です。このお墓は、千利休から贈られたものですが、この灯籠は利休が大変愛したもので、秀吉に所望されたところ、自ら笠の裏面を削り、傷物であることを理由に贈呈を断ったと伝えられています。

そのためこの細川家の灯籠型墓石は裏に回って見てみると、笠が大きく欠けているのですが、利休と秀吉のすさまじいまでの確執がうかがわれると同時に、石の欠損が灯籠の形の美しさを損なってはいないことにも気づかされます。

利休のお墓は大阪の南宗寺にあり、細長い五輪塔ですが、その手前中央にも 灯籠が置かれています。これは四角柱のシンプルな灯籠で、これをそのまま墓石にしても趣があるように感じられます。

利休型と呼ばれる灯籠は、笠が丸く長く膨らんだ形に特徴があります。火袋よりも笠のボリュームが大きく、長い蓮弁のついた中台も丸く、全体的にやわらかな印象を与えるフォルムになっています。この形をアレンジして墓石にするのも風情がありそうです。

利休型灯籠

 

灯籠の形は多種多彩で、春日(かすが)型、奥の院(おくのいん)型、柚ノ木(ゆのき)型、西ノ屋(にしのや)型、織部(おりべ)型、聚楽(じゅらく)型、御苑(ぎょえん)型、御室(おむろ)型、桃山(ももやま)型、泰平(たいへい)型、吉野(よしの)型、蓮華寺(れんげじ)型、三月堂(さんがつどう)型、善導寺(ぜんどうじ)型、岬(みさき)型、雪見(ゆきみ)型、古代(こだい)型などなど、数え上げればきりがありませんが、それだけ灯籠は様々なアレンジを許容する形だということでしょう。

春日型灯籠

奥の院型灯籠

柚ノ木型灯籠

織部型灯籠

善導寺型灯籠

岬型灯籠

雪見型灯籠

 

灯籠と墓石はその役割は異なります。墓石は古くから供養塔や墓標として作られていたのに対し、灯籠の由来は文字通り、灯(あかり)の籠(かご)であり、照明のために作られました。とはいえ、灯籠と墓石を融合させることはおかしなことでもないと思われます。墓石が魂や霊(あるいは心)というあかりを宿すものだと考えることもできるからです。

従来の一般的なお墓の場合、墓石の手前に灯籠を建てるのが一般的でした。時代とともに墓所の面積は小さくなっていく傾向にあり、大きな灯籠を建てるスペースがない場合には、外柵の親柱の上に置灯籠と呼ばれる小さな灯籠を据えるケースが増えていきました。

置灯籠を設置することも難しい都心部のさらに小さな墓所の場合には、香炉の横にローソク立てを置いてあるお墓も見受けられます。