鉱物の硬さと隙間の大きさ

記者 先生、前回は「石はなぜ重いの?」という素朴な疑問にお答えいただきましたので、今日は岩石のもう一つの特徴ともいえる〝硬さ〟をテーマにお願いしたいと思います。
題して「岩石はなぜ硬いの?」。今回もよろしくお願いします。

先生 わかりました。今回も楽しく進められると良いですね(笑)。

記者 まず最初にお聞きしたいのは、なぜ石の種類によって硬さが違うのか?よく花崗岩は大理石に比べて硬いといわれていますよね。

先生 それは簡単にいうと、それぞれの岩石を構成している鉱物の硬さの違いです。岩石や鉱物の分野では、どのくらいの引っかき傷に耐えられるかを測定するモース硬度という尺度があるのをご存知ですか?

記者 ハイ、確か1から10までの段階に分けられるという。

先生 それでいくと、花崗岩に含まれる石英は鉱物の中でもかなり硬い部類に入ります。一方で大理石を構成する方解石(炭酸カルシウムを主成分とする鉱物)は、金属で削れてしまうくらいの硬さなんです。

記者 じゃあ、石の重さと同じで、そこに含まれている鉱物の種類によって変わってくるんですね。

先生 あとは、鉱物と鉱物のあいだの隙間の大きさ。とくに岩石をカットするときには、この隙間が大きく関係してくると思います。

記者 隙間…ですか。

先生 たとえば、凝灰岩の一種である大谷石という石がありますよね。あれは火山灰が積もって上から押されただけなので、たくさんの隙間が残っています。ですからカットするときは、その鉱物の粒と粒のあいだを切り離すだけで良いんです。
しかし隙間が小さくて、さらに鉱物の結晶が大きい岩石の場合は、カットするときに、その鉱物自体を切断しなければいけません。

記者 なるほど~。鉱物を切っているのか、あるいは鉱物と鉱物の隙間を切っているのか。そのことも「あの石は硬い」「あれは柔らかい」といった認識の違いを生み出しているんですね。

 

温度と時間も硬さを変える

先生 ちなみに岩石の硬さは、温度と時間によっても変わってくるんですよ。

記者 そうなんですか先生 たとえば、ある鉱物は地上にあるときは硬いけれど、地下の600℃くらいのところでは、融けていない状態でも柔らかかったり、変形しやすくなっていることがあるんです。
あと、時間のことでいうと、わかりやすい例では岩石のナデなどもそうですよ。

記者 えっ、あれは石がまだ液体のときに流れたものではないんですか?

先生 もちろん、それもあります。ただ、固まってしまってからでも、同じ力が何万年もかかり続けると、ああいう状態に変形していく可能性があるんです。

記者 う~む、なるほど。しかし先生、硬い石が変形するからには、相当強い力がかかっているんでしょうね。

先生 ええ。ちなみにこのことは、地震の発生ともつながってくるんです。

記者 えっ、そうなんですか。

先生 地球の地下ですごい力がかかって、押されて、それでも変形できないような場合に、地震が起こってしまうんです。
一方で、地震が起こりにくいといわれている石が蛇紋岩。固体の状態でも層と層のあいだで滑って変形する性質を持っていますから、押されたときに力をうまく逃がすことができているんです。

記者 な、なるほど・・・。

 

ホワイトボードに図を描きながら説明してくれる乾先生

 

重さと硬さは比例しない

記者 ところで先生、こんにゃく石ってあるじゃないですか。石なのに、なぜかグニャグニャに曲がってしまうという。あれが不思議で仕方がないのですが・・・。

先生 こんにゃく石ですか。私もそれほど詳しくは知らないんですけど、隙間が多いからだと聞いたことはありますよ。

記者 えっ、あれも隙間の問題なんですか。

先生 わかりやすくいうと、ちょうどオモチャのブロックのようなものだと思います。

記者 オモチャのブロックどういうことですか?

先生 つまり、一つひとつのブロックは硬いので曲がりませんよね。これが鉱物にあたるわけです。でも、つなぎの部分に遊びを持たせて組んでしまえば、曲げられるようになる。要するに、その遊びの部分が隙間となって変形の余地をつくっているんです。

記者 なるほど~。では先生、本日の最後の質問です。前回に取り上げた石の重さと今回の石の硬さ。この二つには何か相関関係はあるんですか?

先生 つまり、岩石の重さと硬さは比例するか?そういうことですか。

記者 ハイ。なんとなく重ければ重いほど硬い、あるいは逆に硬ければ硬いほど重いというようなイメージがあるんですけれど・・・。

先生 率直にいって、その二つは関係ないですね。

記者 あ、そうなんですか。

先生 たとえば鉄は重いですけれど、ローラーで伸ばして鉄板にすることもできる。つまり硬くはないですよね。

記者 そうか、確かに・・・。

先生 それに金だって、かじれば歯型がついてしまう。あと、硬いといえばダイヤモンド。あれも炭素という軽い元素の塊なので、決して重くはないと思います。もちろん、実際に持ったことはないですけどね(笑)。

記者 ナハハいつかは持ってみたいですね(笑)。
では先生、今回はこのへんで。どうもありがとうございました。

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