この企画では、彫刻家が感じている「石の魅力とは何なのか?」、「なぜ石で彫刻を作っているのか?」ということをお聞きしていきます。
今回は東京・六本木にあります国立新美術館で開催された一陽展で小林達也さん、伊丹脩さんにお話を聞かせてもらいました。

――石彫家の小林達也さん、伊丹脩さんが考える「石の魅力」とは?

石の魅力について、はじめに小林さんにお話を聞きました。

「石はやっぱり自然物ですよね。木やテラコッタの素材である土も自然の素材ですが、石は一番歴史の深い素材ですよね。出来上がったのが何千年や何億年前のもので、原石を切り出してそれを彫刻するわけですけど、その奥深さっていうか、地球を凝縮した素材みたいな感じがします。

扱っていると抵抗感は強く、木彫とかもちょっとやったこともありますが、自分の想いを形にしていくには石のほうが魅力的に感じた。抵抗感が自分の体に馴染んだっていうんですかね。

加工していくためには、自分の力で割って、切ったり、はつったり、磨いたりしていきますが、そういった手順も好きだし、表情の付け方、加工によってどういう表情が出来るかが面白かった。そういった所が自然の素材の中で石が一番魅力を感じたんです。金属とかプラスチックのような素材には魅力を感じなかったんですね。

私は大学を卒業してから一陽展に37年続けて野外展に出展しているんですけど、コネクト、繋ぐっていうコンセプトで制作しています。形状は20年近く前から穴を開けるような作品を制作しています。

形状の形は人物の肉体の部分が繋げ合わさっているような作品で、関節から筋肉から流れが1つになっていくような感じ。1つのものに繋がっていくっていうことを意識して作っていますが、体の繋がりばっかりではなくて、気持ち、心の絆、人との繋がり、人間関係なんかの人との繋げ合わせを意識して制作しています」と。

小林さんのインド産赤御影石を使った「connect」

 

続いて、伊丹さんにお話を聞きました。

「石の魅力は頑固なことですかね。こっちが勝負しないと形にならないっていうか、形にするのが簡単じゃなく、硬さと加工の難しさを兼ね備えているので、つい作ってしまう。

私が木を彫らないのは軟らかいからだと思うんです。石が硬いんで気合いで彫っている様な感じなんですけど、時には素直になって割れたり、磨きもきれいに磨けるんですけど、時にはきれいにさせないぞ、みたいな頑固さを持っているというか、言う事を聞いているようで聞いてないみたいな。

表現をここはこうしたいけど、させてくれない、みたいな感じがあったりするので、そういう所の難しさっていうか、そこら辺に惹かれて作っているんだと思います。

磨きの所と粗い所と、私が思っていることと、石がそれに応えてくれているっていう部分の駆け引きというか、自分で石をコントロール出来ているかっていうと、まだまだなんですが、その辺の大変さが面白いんだと思います。

手間がかかって上手くいかない部分は、次は何とかしてやると思ったり、今回の作品のように割れずに上手く円切りが出来た時は、石に勝ったって思ったりしています(笑)。

大学の頃は日本画、油絵、映像、焼物、彫塑、木彫等、ひと通り科目でやらされました。その中で、自分の好きなことを選ぶ大学体制だったので、4年生の頃から本格的に石を彫り始めました。日展の先生に“お前は石が似合っているよ”と言われたので、その先生のおかげもあるのかな。その先生に言われていなかったら、私は多分塑像、粘土のほうをしていたと思います」とおっしゃっていました。

伊丹さんの万成石を使った「ワニ目アリゲーター科カイマン属」

今年の一陽展の最終日は台風が直撃する予報でしたので、野外展示は少し終了時間を早めて搬出されていました。