銘店“石屋”シリーズ  株式会社 小林石材(長野県喬木村)

親子2代で、お客様に喜んでいただけるお墓づくりにこだわっていきたい。

創業者である初代の小林武さん(61歳)と武さんのご子息で専務を務める貴大さん(30歳)の2人が中心となってお墓づくりを行なっている長野県喬木村の株式会社 小林石材。ゆくゆくは2代目を継承する次の代が育っていることも同社の大きな強みである。今回はお二人それぞれに仕事のこだわりや目標などを伺った。

写真左から小林貴大さん、小林武さん

小林武さん(昭和36年生まれ)
若い頃は釣りやバンド活動、スキーなど、いろいろな趣味を持っていたが、現在は仕事一筋。「石を切ったり磨いたり、働くことのすべてが楽しい」と話している。

小林貴大さん(平成4年生まれ)
とても聞き上手で、人と話すのが大好きという人見知りをしない明るい性格が魅力。地元の祭りや消防団など、地域の活動にも積極的に取り組んでいる。

―まずは創業からの歩みや分岐点となった出来事などをお聞かせいただけますか。

 この会社を創業したのは2005年。私自身は、これまでいろいろな勉強をしながら、約20年間にわたって石材業界に携わっています。大きな分岐点といえるのは、妻と出会って25歳で結婚したことですね。やはりパートナーがいると、その人の人生観や考え方などに影響を受けて、お互いに変わっていくじゃないですか。そうして、夫婦で一つの性格ができていく。そういうことがあっての今の自分だと思っています。
もちろん今の会社を起業するにあたっても、いろいろなかたちで手伝ってもらいましたし、この仕事をこれまで続けてこられたのも、妻の支えがあったからこそ。時にはケンカもしますけど(笑)、妻には感謝の気持ちしかありません。

―現在の社員数と主な仕事内容を教えてください。

 今は私と専務を任せている息子と、職人さんが2人。それに義理の娘が事務や総務などを担当してくれています。あとは全部で3店舗を経営していまして、そうしたほかの店舗のスタッフも含めると、全員で7人体制です。
業務内容でいいますと、まず中心になっているのは、加工や施工なども含むお墓づくり。そのほかには仏壇や仏具・線香などの販売も行なっていまして、墓石や仏具関係で、お客様が求めることをトータルでサポートできるようにしています。

―主にどのような石を扱っていますか?

 とくに力を入れているのは福島県で採掘されている「滝根みかげ」です。東京の展示会で初めて見たときに、その色や石目、吸水率、硬さなど、すべての面に一目惚れしました。
この石の特徴は、ぱっと見たときに、味のある、きれいな石であること。外柵材に使われることもありますが、石塔にしてもすごく映えると思います。まさに自分から見て、どこに出しても恥ずかしくない、これぞ「日本の石」といったイメージです。

―お墓づくりで大切にしていることはなんですか。

 当社の工場で一通りの石材加工ができることは大きな強みだと感じていますし、当社が大切にしているこだわりでもあります。今、工場にあるのはオフカットと中口径の切削機、自動と手動の研磨機など。先日、ワイヤーソーを新たに導入し、原石加工にも力を入れています。
こうした加工設備と技術を持っていることは、お客様にとっての安心材料にもつながっていると思います。お墓は決して安いものではないですからね。なぜこれだけの価格なのかといったことや、自分たちでつくれるからこそ細かいところまでお墓の価値をしっかりと伝えられるものだと考えています。
このほかにも施工や字彫りなども自社で行なっていますし、磨き直しなどのアフターフォローにも対応。お墓づくりに関することは、すべてを自社で行なうことができています。

新たに導入された石を切削するワイヤーソー

―ではここで、専務の貴大さんにもお話を伺います。まずはこれまでの経歴を教えてください。

貴大 生まれも育ちも飯田で、小学校から高校まではずっと野球をやっていました。石屋さんの仕事を始めたのは、名古屋の専門学校を卒業した20歳から。最初は別の石屋さんで1年ほど修業させていただいて、それから父のもとで働き始めました。今年で30歳ですから、経験としては約10年といったところです。

―現在はどういったお仕事を担当されているのですか?

貴大 墓石の施工が中心ですね。あとは墓地の確認や、店舗にお客様がいらっしゃったときは、その対応をさせていただくこともあります。

―今後の目標をお聞かせください。

貴大 今は施工も加工も含めて会社の状態が非常に良好ですから、まずは現状を維持することと共に、足りないところは積極的に見直していきたいと考えています。いつも自分が目標にしているのは、第一に事故や怪我などがないようにしていくこと。そうした安全対策を徹底した上で、お客様から「ありがとう」と言っていただける仕事を続けていきたいと思っています。

―貴大さんのコメントを聞いて、武さんはどのようにお考えですか。

 息子が後を継いでくれることに関しては、とても安心しています。お墓はお客様と長くお付き合いしていくものですから、これまでにお墓を建ててくださったお客様を末長くお守りしていくという面でも、大きな意味があると思います。
ただ、時代は変わっていくものですから、お墓の仕事だけにこだわらない姿勢も大切になってくるかもしれません。たとえば土木関係ですとか、ほかの業界に橋をかけて、商売を広げていくようなことも考えてもらえたらと思っています。経営者として、お客様と社員の両方を幸せにできる人間になってもらいたいですね。

―では最後に、ご自身にとっての仕事のやりがいをお聞かせください。

 それはやっぱり、お客様から喜んでいただけることですね。「ありがとう」と、目に見えるかたちで感謝の気持ちを表してもらえることは、この仕事を続けていく上での大きなモチベーションになっています。これまでお墓を建てさせてもらったお客様からも高い満足度を示す声を多く寄せていただいており、本当にありがたいと思っています。これからもお客様の喜ぶ顔を見るために、精一杯がんばっていきたいです。

 

株式会社 小林石材

所在地:長野県下伊那郡喬木村15232-1
TEL:0265-33-5100/FAX:0265-49-3122

いしマガ取材メモ

お客さん一人ひとりの要望に沿ったきめ細かい対応など、仕事の丁寧さに定評のある株式会社 小林石材。その姿勢は墓石の施工現場における徹底した清掃ぶりにもよく表れています。こだわりは「現場に入ったときよりも、きれいにしてから帰ること」。周囲の通路なども含めて掃除を行なうことで、お客さんから「こんなにきれいにしてもらって」と感謝されることも多いそうです。
また、きれいなショールームの存在も同社の大きな特徴。お墓づくりの一連の流れがわかるような展示も行なっており、まずは一度足を運んでみてはいかがでしょうか。