銘店“石屋”シリーズ  株式会社 大地石材(千葉県市原市)

一人ひとりのお客様に合わせたお墓づくりの提案をしています。

昭和49年創業の石屋さんを受け継ぎ、現在の体制になってから5年目を迎えている千葉県市原市の株式会社 大地石材。お墓の販売や施工を中心に行なっており、市原市の中でも堅調に実績を重ねているお店の一つとして知られています。同社の代表取締役である松本昇さんに、お墓づくりに込める想いなどについてうかがいました。

松本 昇さん(昭和49年生まれ)
趣味は食べ歩きと、キックボクシングや空手などの格闘技観戦。昔は自身でも空手をやっていたという。また、最近は仕事をがんばった日に、ウィスキーをストレートで飲むのが自分の中で流行っているとか。

―まずは松本さんの経歴を教えてください。

松本 私は2004年に石材業界に入りました。その前は写真関係の小さなラボ(現像所)で働いていました。そこから霊園の開発会社に入っていろいろなことを勉強したり、お墓の訪問販売を経験したり。それから、期間は短いのですが、お寺の職員をやっていたこともあります。
そして老舗の石材店で営業の経験をたくさん積み、今の大地石材として独立したのは2017年。この会社はもともと昭和49年に創業しているのですが、2012年頃から創業者の方とご縁がありまして、第三者事業承継というかたちで、会社と既存のお客様を引き継がせていただきました。そして創業者の方には、会長という立場で今も関わっていただいています。
引き継ぐときに言われたのは、「これまでのお客様へのフォローやサービスをしっかりと続けてもらいたい」ということ。お墓はずっと長くあるものですから、もちろんその言葉は今も固く守り続けています。

―現在の社内体制と、主な仕事内容は?

松本 私と会長のほかに、営業担当者が1人、見習いの新人、それに事務担当者が2人います。仕事内容は、お墓が中心です。千葉県内全域を対象にしていますが、会社の近くにある2つの霊園での仕事が多く、基本的には地域密着の姿勢を大切にしています。
市原市内の霊園は、都心に近い地域に比べて一つひとつの区画が広いので、その分だけお墓も大きくなることが多いです。それに、火葬してからお墓にそのまま埋葬する「野辺送り」という風習が残っているのも、船橋や柏、流山などにはない特徴だと思います。

―御社ならではの特徴について教えてください。

松本 まず一つは、これまでの施工実績として、創業から48年で5000件以上のお墓づくりを行なってきています。あとは、私がこれまで霊園開発やお寺の仕事にも携わってきた経験を活かして、一人ひとりのお客様に合わせたお墓づくりの提案ができること。耐震施工やデザインのことなど、常に親身になって提案する姿勢を大切にしています。

―これまでの人生で分岐点となった出来事は?

松本 両親を早くに亡くしたことだと思います。そういった自分の経験をお客様にお話することもできますし、何よりも一人ひとりの気持ちに寄り添うことができる。これは私自身が、両親を失った痛みを経験しているからこそ。今から振り返ってみると、あの出来事が両親からの最後の教育だったようにも感じます。
それに父の葬儀のときには、本当に驚くくらいたくさんの方が弔問に来てくださったんです。父はトラックの販売業をしていまして、決して器用なタイプではなかったと思うのですが、周りからはすごく慕われていたみたいです。
私が初めて車を購入したのは父の勤務先の関連会社でした。その時に父の同僚の方から「お父さんは営業の神様だと言われているんだぞ」と教えていただき、私の知らない父を知りました。そういった父の背中を小さい頃から見てこられたことも、非常にありがたいことだったのかな、と思っています。

―松本さんにとって、お墓とはどういうものでしょうか?

松本 私の経験からお話しますと、じつは両親が生きているあいだに親孝行ができなかったことを、今でも少し後悔しているんです。でもお墓があれば、そこに行っていろいろなことを話したり、相談したり、それに子どもを連れて行ったりもできるじゃないですか。そういうときに、あの空間でこそ感じられる空気みたいなものがあって、それもお墓があることによって得られる恩恵に近いものだと思うんです。そういう意味でのお墓の大切さというのは、少しでも多くのお客様にお伝えしていきたいと心に決めています。
お墓は、過去と現在、そして未来の唯一の接点だと思うんです。ご先祖様がいるからこそ、今の自分があるわけで、それってじつは奇跡的なことですよね。お墓というものを通して、そういう想いを少しでも共有できれば、それに勝る喜びはありません。

―この仕事でもっとも大切にしていることはなんですか?

松本 お客様には常に誠意を持って接し、ご縁と念を大事にしていきたいと思っています。そして何よりも、「ここに頼んでよかったな」とか「松本さんに出会えてよかったな」と、多くのお客様に思っていただける仕事をしていきたい。そのことに尽きますね。

―では最後に、今後の目標をお聞かせください。

松本 この業界ではまだまだ若手だと思いますが、「お墓づくりでは誰にも負けたくない」という強い覚悟を感じています。そのためにも、今後は、これまで以上に自社でできるサービスを増やしていきたいと考えているところです。そしていつかは、たくさんの人に愛されていた父を追い抜くことが目標。一人でも多くのお客様に喜んでいただけるような、そして安心して頼っていただけるような仕事を、これからも長く続けていきたいと思っています。

株式会社 大地石材

所在地:千葉県市原市能満1557-13
TEL:0436-43-6311/FAX:0436-42-2781
ホームページ:https://daichisekizai.jp

いしマガ取材メモ

落ち着いた口調で、自らの心の中の決意を話してくれた松本さん。この真摯で熱い想いが、多くのお客様から選ばれる理由の一つではないでしょうか。実際に「松本さんのところにお願いしてよかった」と涙を流して喜んでくれる方も少なくないそうです。また、一方では約270種類から選べるデザイン墓石のウェブサイトや、誰もが知りたいお墓のことを掘り下げていく動画チャンネルなども運営中。それに最近はガラスを使ったデザイン墓石に力を入れるなど、常に新しいことにも挑戦しています。さらに少し前には会社の裏の敷地を広げたばかり。これから新しい機械や設備も充実させていくそうで、会社が今後どのように成長していくのかも興味が尽きません。