銘店“石屋”シリーズ  有限会社 佐藤石材店(福岡県大野城市)

良心的な価格で、できる限りのことをやらせていただきます。

福岡県大野城市の㈲佐藤石材店は、お客さまの要望に応えることを第一に考え、仕事には常に全力投球。そんなところが、多くの顧客から信用されている理由なのだろう。今回は創業者でもある代表取締役の佐藤文昭さんに、会社を始めた経緯や日々のこだわり、今後の目標などについてうかがった。

佐藤文昭さん(昭和48年生まれ)
福岡県の石屋さんで修業した後、2006年に独立。「石屋さんの仕事が大好き」と公言し、石に向き合う日々を過ごしている。趣味は古いクルマとバイクに乗ること。手先がとても器用で、お墓の施工や文字彫りだけでなく、クルマやバイクなどの修理も得意なのだとか。

―まずは創業の経緯を教えてください。

佐藤 石屋さんの仕事を始めたのは17歳のとき。2022年で49歳になりますから、もう30年以上も前ですね。きっかけは、原付バイクで事故を起こして入院したことでした。たまたま、そこの病院に福岡市の石屋さんで働いている方がいまして、「退院したら、うちで働いてみないか」と誘っていただいたんです。
その石屋さんでは、17歳から30歳まで、13年ほどお世話になりました。多くの仕事を経験させていただき、石屋さんとしての技術や経験値を積ませていただきました。そして2006年に、お墓の施工(工事)屋さんとして独立。今から振り返ると、独立当初は「仕事をください!」とお願いして任せていただくことが多かったりして、本当にたくさんのお客様からかわいがっていただきました。今でも、その頃のお客様にはとても感謝しています。
余談になりますが、じつは祖父が四国で石屋さんをしていまして、その会社は今も親戚が継いでいます。また、自分は小学生まで石の街として有名な香川県高松市に住んでいた経歴があり、今、自分が石屋さんの仕事をしていることは、何か運命的なものがあったのではないかと感じています。

―現在はどのようなお仕事が中心ですか?

佐藤 もともとはお墓の施工屋さんとしてスタートしたのですが、今はお墓の販売から施工、解体、文字彫りまで、ほぼ墓石全般の仕事を請け負っています。あとは少しだけですが、土木や建築、一般住宅の石工事などをお任せいただくこともあります。
うちの会社の特徴は機械類が充実していること。それこそ、石の加工機械から現場の建て込みで使用する機械まで、いろいろなものがそろっています。とくに現場の機械に関しては、かなり充実しているほうだと自負しています。ですから、石の工事に関しては、ほぼすべてのことに対応できる。それがうちの会社の大きな強みになっていると思います。

工場内にある石材加工機械①

―ではここで、少しプライベートに関する質問も。仕事以外の趣味はなんでしょうか?

佐藤 クルマとバイクですかね。どちらも新しいのではなく、古いものが好きなんですよ。クルマだと今持っているのは、トヨタのマークⅡと、あとは軽トラック。そういう古いものを自分でいじって、修理しながら乗っていくのが好きなんです。手を動かすことが楽しいという意味では、お墓の仕事と通じるものがあるのかもしれません。

―特技などはありますか?

佐藤 う~ん、しいて言うなら、手先が器用なことでしょうか。壊れているものを直すのが得意というか。頼まれると断れない性格でもあるので、よくいろんな方から修理をお願いされることがありますね。もちろん、複雑なものはできませんけど、基本的に「いや」とは言いません。うちの妻からは、よく「一家に一台ほしいタイプだよね」なんて言われています(笑)。

―創業から15年以上が経ちますが、佐藤さんがお客さまから選ばれ続けている理由はなんだと思いますか?

佐藤 うちの場合は、ほとんどがお寺や霊園など、既存のお客様からの口コミ・紹介なんです。ですから、そういったご紹介いただける方のおかげというのが一番大きいですね。もちろん、手前味噌になりますが、良い仕事を続けていることも大切な要素になっていると思います。あとはそうですね、もしかしたら私の人柄もあるのかもしれません(笑)。
それに価格的にも、良心的なほうではないかと思っています。たとえばお客様にお見積もり金額を伝えて、それが高額過ぎると、お客様の声のトーンが変わったりすることがあるじゃないですか。私は、ああいうのがいやなんですよ。もちろん、本当に難しい場合は、そのようにお伝えしますが、できるだけがんばって、お客様にご納得いただける金額にしたいと思っているんです。

工場内にある石材加工機械②

―石屋さんという仕事のやりがいはなんですか?

佐藤 お墓づくりの最初から最後まで(設計から完成まで)、すべての仕事に携われることですね。それにお墓づくりというのは、ずっと長く残っていく仕事。そういった部分も大きなやりがいにつながっていると思います。
そしてあとは、やっぱりお客様から喜んでいただけること。以前に香川県出身のお客様がいらっしゃったので、香川県で採れる銘石「庵治石」を使ってはどうですか、と提案したことがありました。こちらの提案によって興味を持っていただき、庵治石でのお墓づくりへと。完成したお墓を見たときのお客様の表情は今でも覚えていますが、とても気に入っていただくことができました。ああいうときにお客様のご満足した笑顔を見られるのが一番の喜びですね。
良心的な価格をベースに、できることは目一杯やらせていただきますし、ご要望があれば、可能な限りお聞きしていきたいと思っています。

―では最後に、今後の目標をお聞かせください。

佐藤 私は、この石屋さんの仕事が大好きで、ほかのことはできないと、いつも思っています。だから目標は、生涯現役であり続けること。死ぬまでずっと、この仕事を続けていけたらうれしいですね。

 

有限会社 佐藤石材店

所在地:福岡県大野城市川久保1丁目9-18
TEL&FAX:092-504-5528

いしマガ取材メモ

それほど多くを語るタイプではないけれど、ゆっくり時間をかけて、しっかりと答えてくれた佐藤さん。まさに口よりも手を動かす、昔ながらの職人さんという雰囲気が感じられました。予算の範囲内で、どれだけ良いものを作れるか。そういったところに、仕事の面白み・やりがいを見出している姿勢も佐藤さんならではのスタイル。お客さまの話にしっかりと耳を傾け、お墓づくりの相談・要望に真摯に向き合ってくれるタイプの石屋さんです。お墓を建てようと思っている方は、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょう。