楽しい石入門 14時間目「岩石は地球の冷却の副産物!?」

日本の近代化に貢献した稲田石

記者 先生、今日もよろしくお願いします!

先生 こちらこそ、お願いします。

記者 さっそくなのですが、前回でお話いただいた稲田石の件、とても興味深い内容でした。もっと詳しく知りたいという声もありましたので、追加でもう少しだけ解説していただけませんか?

先生 わかりました。そもそも、稲田石は比較的きちんとした資料が残っている石なんです。まず最初の成り立ちからいきますと、私が注目したのは、江戸時代までは産地ではなかったという点です。

記者 それはなぜなんですか?

先生 もともと茨城の内陸ですので、舟などで運ぶことができなかったのでしょうね。日本国内に西洋建築の技法が入ってきて、建物に石が使われるようになった最初の頃も、まずは小松石などの安山岩が主流だったそうです。ただ、面白いことは、すでに明治時代から石工を連れて稲田に移り住んだ人がいたという記録が残っているんです。

記者 えっ。ということは、稲田で良い石が採れることは当時からわかっていたんですか?

先生 そうだと思いますよ。ちなみに稲田石が初めて組織的に使われたプロジェクトは明治20年頃。水戸線の敷石などの整備で、そのときは地域の農家が総出で作業にあたったようですね。ただ、いつまでも農家の手で搬出を行なっていても埒が明きません。というわけでトロッコの軌道が敷設されまして、そこから大きく物事が動き出したんです。

記者 ほ~。すごく面白い話ですね!

先生 トロッコの軌道は、稲田駅につながりました。そして明治30年に稲田駅からの初出荷があり、そして明治37年には、東京の市電の敷石用に大量の注文を受けました。
このときは、まさに記録的な量の稲田石が出荷されたらしいです。なにしろ、大きな材が採れるし、品質も均一ですからね。その後も関東大震災の復興時など、東京というまちが形づくられていく中で、もっといえば日本全体の近代化に対しても、非常に大きな役割を果たした産地だといえるのではないでしょうか。

記者 なるほど~!

 

地球の内部には核とマントルがある

先生 では、前回の続きに入っていきましょう。

記者 はい!地球の歴史は冷却の歴史であるというお話でしたよね。

先生 ちなみに、地球で一番古い石は、マグマオーシャンがなくなったことでできたのだと考えられています。

記者 マグマオーシャンとは、つまり地球の表面が融けて、マグマの海だった状態ですね。でも、そんな熱い状態が、どうやって冷えていったんですか?

先生 おそらく、地球にぶつかってくる天体が減ったからではないかと思います。

記者 なるほど。ぶつかるものがなければ、新たなエネルギーも発生しようがありませんもんね。

先生 そういうことです。そして地球の表面から冷えていって…。

記者 内部にマグマが残ったと。そうか、その残ったマグマが火山などで噴火して、それが火成岩になるんですね。

先生 ただし、地球の内部がすべてマグマというわけではないですよ。

記者 えっ、そうなんですか!?

先生 まず地球の中心には、鉄やニッケルのかたまりである核というものがあるんです。大きさは地球の半径の半分くらいで、わかりやすくいいますと、地球の中にアボカドの種が入っているようなものだと思ってください。そして、その外側にマントルがあるんです。

記者 マントル…というのは、マグマとはまた違うんですか?

先生 マントルは、マグマオーシャンが固まったもので、さっきのアボカドの例えでいうと身の部分にあたります。そしてマグマは、その岩石が融けて液体になったもののことですね。

記者 じゃあ、マントルはあのいわゆるドロドロのマグマではない?

先生 はい。マントルはかんらん岩、つまり岩石ですから固体です。しかし、固体にも関わらず、地球の内部でゆっくりと対流しているんです。

マントルの一部

 

冷却の過程で岩石が生まれる

記者 先生。どうもよくわからないんですが、対流するということは、固体なのに動いているということですよね?

先生 もちろん、ごくゆっくりとした何億年というレベルでの動きですけどね。これは中学校くらいで習ったことがあると思いますけど、水の入ったビーカーの底を熱すると、水がグルグルと対流するじゃないですか。あれと同じような原理です。そして、そのマントルの上に大陸のプレートがあるんです。

記者 じゃあ、たった今もぼくたちの足の下ではマントルがゆっくり動いていると。なんだか不思議な感じですね。

先生 そしてプレートの裂け目や、前回もお話しましたが、日本の地下みたいに水が入り込んで融点の下がる沈み込み帯、そしてホットスポットといわれるところでは、その一部が融けて、マグマとなって地表に出てくるんです。

記者 ホットスポットというのは、この連載でも初めて聞きました。

先生 プレートの裂け目じゃなくても、マグマが上がってくる場所のことです。有名なところでは、たとえばハワイなんかがそうですね。

ともかく、そうしたいろんなところからマグマが地表に出てくることで、地球の冷却が促進されているんです。いい換えるなら、花崗岩を始めとするさまざまな岩石は、地球が冷えていく過程の副産物。そういう風にも捉えることができるのではないでしょうか。

記者 な、なるほど…!

先生 さて。本日はこれでおしまいです。ちなみに、次回は特別編ですよ。

記者 特別編!?

先生 詳しい内容はお楽しみです。では次回にまたお会いしましょう。

記者 はい!先生、今日もありがとうございました。

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